AIエージェントの作り方:Copilotで自社専用AIをノーコードで構築し、現場の定型業務を自動化する手順
社内の規定や過去の提案資料を探す作業に追われ、本来の仕事がなかなか進まない。経費精算のやり方を毎回のように事務担当が聞かれ、対応に多くの時間が奪われている。そんな日常業務の課題を解決するAIエージェントの作り方と、Microsoft Copilotを使った導入手順を解説します。 プログラミング知識がなくても自社専用のAIを自作できる時代になり、現場の担当者自身がバックオフィス業務や問い合わせ対応を自動化できるようになっています。
- 来週から試せる:Microsoft 365環境があれば、追加のシステム構築なしですぐにエージェント作成に着手できます。
- IT人材がいなくても、直感的な画面操作とテキスト入力だけで自社専用AIを構築可能。
- 目的を絞った小さな業務からスタートし、段階的に適用範囲を広げることが成功の鍵です。
1. プログラミング不要で進化するAI開発の最新トレンド
これまでのAI開発はエンジニアによる複雑なコード記述が必須でしたが、現在はビジネスユーザー自身がシステムを作る市民開発のフェーズに入っています。とりわけMicrosoft 365に統合された開発ツールが普及したことで、中小企業でも手軽に導入できる環境が整いました。IT部門の負担を増やさずに、現場主導で素早い業務改善が進むようになっています。
マネーフォワード Bizpediaの解説にあるように、Microsoft Copilot Studioはプログラミング知識を持たない現場の担当者でも直感的に操作できる設計になっています。営業支援やバックオフィス、カスタマーサポートなど、自社の目的に合わせたAIを短期間で形にできます。これまで外部の専門業者に依頼していた開発作業を、自社の社員だけで進められます。システムの専門家が不在の組織であっても、すぐに最新技術の恩恵を受けられます。こうしたツールの登場が、企業における日常業務のあり方を根本から変えようとしています。 参考:マネーフォワード Bizpedia
2. 【実践】Copilot Studioを活用したAIエージェントの作り方
読者の皆さんが一番知りたいのは、具体的にどう手を動かせばよいのかという点です。ここでは、Microsoft 365環境に統合されたプラットフォームであるCopilot Studioを使って、自社専用のAIエージェントを構築する7つのステップを詳しく解説します。
1. 目的と利用シーンの明確化
何のために作るのかを最初の段階で決める 最初の段階で、何のためにエージェントを作るのかを決定します。漠然とAIで業務を楽にしたいという目標では、期待する成果は得られません。例えば営業担当者が月平均10時間かけている提案書の過去資料探しをゼロにする、あるいは総務部への経費精算に関する月間50件の問い合わせを自動応答で済ませるといった具体的な数値目標を設定します。対象業務を一つに絞り込むことが、失敗を防ぐ有効な手段になります。
2. 開発環境の準備
手持ちのアカウントですぐに作業を始める 次にツールを動かすための環境を準備します。Microsoft 365をすでに導入している企業であれば、ブラウザから専用サイトにアクセスし、普段使っているMicrosoftアカウントでサインインするだけで作業を始められます。サーバーの構築や複雑な初期設定は一切必要ありません。管理画面から数回クリックするだけで、エージェント作成の土台が完成します。
3. 業務別テンプレートの選択
用意された雛形から自社に合うものを選ぶ ゼロからすべてを設定する必要はありません。Copilot Studioには、FAQ対応や経費精算の案内、営業資料検索といった業務ごとのテンプレート(雛形)が豊富に用意されています。自社の目的に最も近いテンプレートを選び、そこから必要な機能を追加していく方式をとります。これにより、通常は数週間かかる初期構築を数日間に短縮できます。
4. 会話フローの設計
エージェントとユーザーのやり取りの筋道を立てる エージェントとユーザーのやり取りを決める会話の道筋を設計します。画面上の図形をつなぎ合わせる直感的な操作で、会話の分岐点や質問内容を組み立てていきます。たとえばユーザーから請求書作成の依頼が来た場合、エージェントが顧客名と金額を聞き返すような設定を作ります。プログラミング言語ではなく、普段使っている日本語で指示を設定できるのが特徴です。ここでの緻密な設計が、のちの運用で生じる無駄なやり取りを大きく減らします。 参考:JBS Tech Blog
5. 社内ナレッジの読み込みと設定
自社独自の回答を生み出すための材料を用意する 自社独自の回答をさせるために、社内データをAIに学習させます。WebサイトのURLや社内ポータルのファイル、PDF化されたマニュアルなどをアップロードして参照元として指定します。エージェントは読み込んだ情報を基に回答を生成するため、最新かつ正確な文書を用意することが求められます。質の高い情報を与えれば、新入社員でもベテランと同じ精度で社内情報を引き出せるようになります。
6. Power Automateとのバックエンド連携
会話の後にある実務処理まで一気に終わらせる 会話だけでなく、その後の実務まで終わらせる仕組みを作ります。Microsoftの自動化ツールであるPower Automateと組み合わせることで、会話で得た情報を基にした処理が実現します。ユーザーが条件を入力すると、エージェントが顧客へ確認メールを自動送信したり、指定されたWordテンプレートに文字を入力して契約書を作成したりします。チャット画面を離れずに一連の作業が完了するため、劇的な時間短縮につながります。
7. 小規模テストと段階的な展開
少人数で試してから少しずつ対象範囲を広げる 設定が終わったら、まずは数人のチーム内でテスト運用を行います。実際に思いつく限りの質問を投げかけ、意図した通りの回答や動作をするかを確認します。間違いや不足があれば、その都度設定を微調整して精度を高めていきます。問題なく動くことが確認できたら、対象部署を広げて本格的な運用へと移行します。最初から全社に公開せず、小さく始めて確実な成功体験を積むのが得策です。
3. 現場の業務自動化をもたらす!自社にどう関係するのか
最新技術も、現場の課題を解決しなければ意味がありません。自社にどう関係するのかをイメージしていただくため、3つの異なる業種を例に挙げて具体的な変化を描写します。
1. 士業(税理士・社労士など)
過去事例と関連法規の調査を数分で終わらせる 過去の膨大な税務相談や労務トラブルの事例をAIに読み込ませておきます。所内のアシスタントや若手職員がチャットで質問すると、エージェントが瞬時に過去の類似事例と関連する最新法規をセットで提示します。これまで数時間かけて紙の資料や過去のメールをひっくり返していた調査業務が、数分で終わるようになります。
2. 建設業
現場を離れずに安全基準や最新図面を確認する 現場監督がスマートフォンから安全基準や最新の施工図面をチャットで呼び出せるようになります。図面の確認のために現場事務所へ何度も往復する無駄がなくなります。また、協力業者からのよくある質問にもAIが即座に回答するため、現場から離れずに確認作業と指示出しを完結させる業務スタイルが実現します。
3. 不動産業
物件検索から契約書の自動作成までを一任する 営業担当者が顧客の希望条件を入力するだけで、AIが該当する物件情報を即座に検索してリストアップします。さらに、選んだ物件に対する契約書の雛形となるWordファイルまで自動作成します。物件探しから書類準備までの煩雑な一連の作業をシステムに任せることで、顧客との対話や提案そのものに多くの時間を割けるようになります。
4. カスタムAIを作るメリットと直面しやすいハードル
自社専用のAIエージェントを構築する最大のメリットは、圧倒的なコスト削減と運用効率化にあります。高額な外注費を払わずに現場の社員がシステムを作り上げ、業務内容の変更に合わせて即座に機能を修正できます。定型業務にかかっていた時間が大幅に減ることで、企業全体の生産性が底上げされます。
一方で、導入時にはいくつかのハードルに直面しやすいため注意が必要です。目的設定が曖昧なまま機能だけを詰め込むと、誰も使わないシステムになりがちです。また、読み込ませる社内データの品質が低いと、AIが事実とは異なる回答を作り出すハルシネーション(幻覚)を引き起こす原因になります。常に情報の鮮度と正確性を保つ運用体制を整えることが、長く使われるシステムを育てるコツです。
5. ノーコード開発が変える2026年の注目アップデート
AIエージェントを作る技術はさらに進化を続けています。2026年には自然な言葉で指示を出す機能などの強化アップデートが予定されており、開発のハードルは極限まで下がります。私たちが普段話している言葉で要件を伝えるだけで、システム側が自動的に最適なエージェントの構成案を生成するようになります。
この技術的な進化により、プログラミングはもちろん、画面の複雑な操作すら不要になる未来がすぐそこまで来ています。誰もが自分のアシスタントを自作できる時代が本格化する前に、今のうちから現行のツールに触れておくことで、将来的な変化にスムーズに対応できる優位性を得られます。
6. 自律型AIを企業に定着させる実践的ロードマップ
実際にプロジェクトを進めるためには、手堅い手順を踏む必要があります。まずは1〜2週間ほどの準備期間を設け、特定の部署の1つの業務に的を絞ります。現在の業務手順を整理し、AIに学習させるためのマニュアルや規定集などの文書を洗い出して最新の状態に更新します。
次に1〜4週間かけて、試験環境で構築とテストを行います。テンプレートを選んで自社用に変更を加え、自動化ツールとの連携を設定します。完成したエージェントは、いきなり全社に導入するのではなく、一部のメンバーによる試験運用から始めます。利用者の感想を集めて改善を重ねることで、少しずつ対応できる業務を広げていくのが、組織にシステムを定着させる王道のアプローチです。
7. まとめ:今すぐ社内導入に向けてできるアクション
ここまで、自社専用のAIエージェントを構築する具体的な手順やメリットをお伝えしてきました。記事を読み終えたら、まずは一番身近な課題に目を向けてみてください。社内で一番質問が飛び交っている社内規定のPDFを1つ用意し、データとして整理することから始めましょう。
Microsoft 365を導入済みの企業であれば、管理画面からCopilot Studioにアクセスしてみるのもおすすめです。初期の画面構成やテンプレートを確認するだけでも、自社でどのように使えるかのイメージが具体的に湧いてきます。もしツール選定でDifyなどの他の選択肢と迷った場合は、以下の記事も参考にしてください。 M365環境で迷うCopilot StudioとDifyの違い。自社専用AI構築の使い方とツール選定基準